こんにちは、下村です。
昨日、料金を全部出しました。
出したあとで、想像していた声があります。
「うちには、そんな余裕ないわ」
たぶん、いちばん多い反応だと思います。
今日は土曜日なので、その話をゆっくり書きます。
先に言っておくと、「だから安いAIにしましょう」という話ではありません。
むしろ逆のことを書きます。
人を1人雇うと、いくらかかるか
一度、まじめに数えてみます。
事務の方を1人、月20万円で雇うとします。
- 給料 … 年間240万円
- 会社が払う社会保険 … 給料のだいたい15%前後。年間で35万円ほど
- 席、パソコン、スマホ、制服、交通費 … 年間で数十万円
ここまでで、もう300万円が見えてきます。
でも、いちばん大きいものが、まだ入っていません。
教える時間です。
入ってすぐに戦力になる人は、まずいません。
半年は、教えながら一緒にやることになります。
そして、その半年間、教えている人の手も止まっています。
金額に直すと、いくらでしょうか。
数えたことがある方は、たぶん、あまりいないと思います。
それでも、僕は「雇うな」とは思いません
ここ、はっきり書いておきたいところです。
雇えるなら、雇ったほうがいいです。
これは、本気でそう思っています。
理由を3つ書きます。
① 「書いていないこと」を持てるのは、人だけだからです
8月12日の記事に書きました。
- あのお客さんには、電話より先にメールを入れる
- この書類は、月末より25日に出したほうが通りやすい
- あの現場は、雨の日は段取りが変わる
どこにも書いていないのに、みんなが知っていること。
これは、その会社に長くいる人の中にしか貯まりません。
AIは、書いてあることしか知らないんです。
② 会社は、人が育つ場所だからです
これは効率の話ではありません。
人が入ってきて、できなかったことができるようになって、後から来た人に教える。
この流れがある会社は、やっぱり強いです。
そして、たぶん楽しいです。
③ お客さんは、人を見ているからです
「あそこの◯◯さんが好きだから、あの会社に頼む」
こういうこと、ありますよね。
これはAIには、どうやっても代われません。
ところが、です
現実の話をします。
雇えない時期が、あります。
- 募集をかけても、来ない
- 来ても、続かない
- そもそも、いま出せるお金がない
- 一度、採用で痛い目を見て、怖くなっている
僕がお会いする社長さんの中に、この状態の方がたくさんいらっしゃいます。
そして、そういう会社で何が起きているか。
社長が、全部やっています。
朝から現場に出て、夕方に事務所に戻って、そこから請求書と領収書。
夜10時に、ひとりで電卓を叩いている。
「人が入ったら楽になるんですけどね」と笑いながら。
……この時間、誰にも褒められないんですよね。
この時間を、どうするか
ここが、今日いちばん書きたかったところです。
選択肢は、たぶん3つあります。
1. 人を雇う — 雇えるなら、これがいちばんいい
2. がまんする — いま、多くの会社がこれです
3. もう一つの選択肢
3つ目を、僕はこう考えています。
橋だと思っています。
向こう岸(人を雇える状態)に渡るまでの、橋です。
橋は、目的地ではありません。
でも、橋がないと、渡れないんですよね。
橋の使い方は、2つあると思っています
① 人を雇えるようになるまでの、つなぎ
いまの事務を持ちこたえて、そのあいだに売上をつくる。
余裕ができたら、人を雇う。
そのときAIは、新しく入った人の下働きに回ればいいと思っています。
② 雇った人に、つまらない仕事をさせないため
こっちのほうが、本当は大事かもしれません。
想像してみてください。
やっと入ってくれた新しい人に、初日から言うわけです。
「まず、この領収書を全部入力して」
……1日中、それをやらせる。
辞めますよね。
僕なら辞めます笑
そうではなくて、
「入力はもう終わってるから、この内容が合ってるか見てくれる?」
「余った時間で、お客さんのところへ一緒に行こう」
こう言える会社になれるかどうか。
同じ1人でも、残ってくれる確率が、たぶんぜんぜん違います。
人が採れない時代に効くのは、実はこっちなんじゃないかと思っています。
「うちみたいな会社じゃ無理」という線
先週の土曜日に、線の話を書きました。
うまい/へた の線。できる/できない の線。
会社にも、同じ線があります。
「うちみたいな小さい会社じゃ、無理ですよ」
「そういうのは、大きい会社の話でしょ」
この線、誰が引いたんでしょうか。
少なくとも、自分で決めたことではないと思うのです。
いつの間にか、そう思わされていただけで。
正直に言うと、全部の線は消せません。
お金の問題は、実際にあります。昨日の記事で、断る基準も書いたとおりです。
でも、いくつかは消せると思っています。
僕が見たい景色
想像してみてください。
朝、社長さんが事務所に来る。
前の日に頼んでおいた請求書の下書きが、もうできている。
目を通して、2か所だけ直す。10分で終わる。
空いた午前中に、お客さんのところへ行ける。
夕方、新しく入った人が「これ、やっときました」と言ってくる。
その人は、入力ではなく、お客さんへの提案を作っている。
夜、社長さんは家に帰っている。
……これ、そんなに大それた景色でしょうか。
僕は、けっこう手が届くところにあると思っています。
最後に
まとめます。
AIは、人の代わりではありません。
代わりにしようとすると、たぶん失敗します。
人を雇えるようになるまでの橋。
そして、雇った人に、その人にしかできない仕事をしてもらうための道具。
僕は、そういうものとして使っています。
昨日の記事に金額を全部書きましたが、金額の話をする前に、これを言っておきたかったんです。
人を雇えないことは、負けではありません。
いまは、そういう時期だというだけです。
その時期に、何をしておくか。
そこは、選べると思うのです。
明日は、日曜日です
明日は軽い回にします。
この30日でいただいた質問を、まとめて答えます。
「パソコンが苦手でも使えますか」
「情報は外に漏れませんか」
「どのプランがいいですか」
このあたりを、まとめて。
連載は、明日を入れてあと3回です。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。