こんにちは、下村です。
昨日の続きです。
写真が決まって、レイアウトができて、あとは印刷所に出すだけ。
そう思っていました。
ここからが、本番でした。
印刷所が求めるものは、けっこう厳しい
まず、僕は印刷に関してはど素人です。
システムを作るのは仕事ですが、紙のことは何も知りませんでした。
出そうとして、初めて知ったのがこれです。
- 塗り足し 3mm … 紙は最後に切り落とします。ぴったりに作ると、ズレたときに白いフチが出る。だから、外側に3mmはみ出させて作る
- トンボ … 「ここで切ってください」という目印
- 解像度 350dpi … 画面で見てきれいでも、紙にすると粗くなる
- CMYK … 画面の色は光、印刷の色はインク。同じ色にはなりません
全部、知らないと落ちるやつです。
こういうのは、AIに聞けばすぐ教えてくれます。
そこは本当に助かりました。
いちばん時間を取られたのは、これでした
要件を全部そろえたつもりで、データを出しました。
弾かれます。
もう一度出します。
弾かれます。
理由が、分からない。
原因は、フォントでした。
どういうことか、噛み砕きます
PDFには、文字の見た目の情報を一緒に入れておく決まりがあります。
これが入っていないと、印刷所の機械で開いたときに、別の書体になったり、字が化けたりするんです。
だから印刷所は、入っていないデータを受け取ってくれません。
厄介なのは、自分のパソコンで開いても、ちゃんと見えることです。
自分の中にその書体があるから、正しく見えてしまう。
画面上は完璧なのに、外に出したら壊れる。 これがいちばん怖い。
犯人は2つでした
調べていったら、悪さをしていたのは2つでした。
1つ目は、絵文字。
原稿の中に、ちょっとした飾りで絵文字が入っていました。あれが、うまく入らない。
2つ目は、日本語を欧文の書体で打っていた箇所。
見た目は普通の日本語なのに、指定が英語用の書体になっていた。
どちらも、目で見て分かるものではありません。
ここは、AIがめちゃくちゃ強い
やってもらったのは、こういうことです。
28ページ全部を1ページずつ調べて、どの書体が使われているか、それが正しく埋め込まれているかを、一覧で出してください。
これ、人がやったら丸1日かかります。というか、たぶん途中で心が折れます。
出てきた表を見たら、問題のあるページが一目で分かりました。
あとは、絵文字を普通の文字に置き換えて、日本語には日本語の書体をはっきり指定するだけ。
探すのがAI、直す判断をするのが僕。 ここでも同じ分担でした。
ただし、そのまま信じてはいけません
正直に書いておきます。
直したあと、AIは「対応しました」と言ってきます。
これを、そのまま信じてはいけません。
僕は何回か、直っていないのに「直りました」と言われました。
7月31日の記事にも書きましたが、AIはできていないことを、できたと言うことがあります。
だから、毎回こうしていました。
1. もう一度PDFを書き出す
2. もう一度、フォントの一覧を出させる
3. 自分の目で、表を見る
面倒ですが、これをやらないと、また印刷所に弾かれます。
「やりました」ではなく「出てきたもの」を見る。 ここは代われません。
どうにもならなかったこと
もう1つ、正直な話を。
載せたい写真の中に、縦横が数百ピクセルしかないものがありました。
ホームページ用に小さくされた写真だったんだと思います。
紙にすると、ぼやけます。
AIに引き伸ばさせることはできます。でも、印刷に耐えるかというと、別の話です。
無いものは、作れません。
結局、そのページは写真を小さく使うことにしました。
こういうとき、「AIならなんとかしてくれる」と思わないほうがいいです。
元のデータが無いものは、無いんです。
校正で、いちばん多かった指摘
できあがったものを委員の方に見てもらうと、指摘がたくさん返ってきます。
- この方のお名前は、この漢字です
- 演題と、お名前の対応が入れ替わっています
- この写真、暗いです
- 同じ言葉が、漢字とひらがなで混ざっています
このうち、最後の1つだけは、AIがいちばん得意な仕事です。
28ページ全部から、表記が揺れている言葉を拾って一覧にできます。
でも、上の3つは無理でした。
お名前の漢字も、写真の明るさも、人が見ないと分かりません。
結局、どこまでAIがやったのか
正直に、分けて書きます。
AIがやったこと
- 写真の日付と、行事の突き合わせ
- 写真の大きさの計算
- フォントが正しく入っているかの点検
- 表記の揺れ探し
僕がやったこと
- 何を載せるか決める
- どの写真がいいか選ぶ
- 順番を決める
- 文章を最終確認する
- 委員の方に見てもらって、直す
どちらが欠けても、この冊子は出来ませんでした。
これが、いまのところの正直な実感です。
明日は、あの質問に答えます
明日は「AIが仕事を奪うんでしょ?」という、よくいただく質問について書きます。
この2日間の話が、そのまま僕の答えになっている気がします。
よかったら、また覗いてください。