こんにちは、下村です。
お盆週なので、今日はゆっくりした話を書きます。
お会いする方に、けっこうな確率で聞かれることがあります。
「AIって、人の仕事を奪うんでしょ?」
正直に言うと、僕はこの質問に、長いことうまく答えられませんでした。
「奪いませんよ」と言えば、嘘くさい。
「奪います」と言えば、そこで話が終わってしまう。
いま僕が見ている景色は、少し違います
中小企業を回らせてもらっていて、いちばんよく聞く言葉があります。
「人が、足りない」
これです。ほぼ、これしか聞きません。
募集をかけても、来ない。
来ても、続かない。
面接して、教えて、育てて。それでも埋まらない。
奪われる以前に、いないんです。
「AIが仕事を奪う」という言葉は、仕事に人が余っている世界の言葉だと思うのです。
少なくとも、僕が見ている範囲では、そうなっていません。
じゃあ、AIは何をしているのか
うちで実際にAIに渡している仕事を、並べてみます。
- カード明細を1行ずつ、表に写す
- 毎月、同じ形式の報告書を作る
- 名簿を、別の様式に転記する
- 28ページの冊子から、表記の揺れを全部拾う
共通点、分かりますでしょうか。
全部、誰もやりたくない仕事です。
やっても、誰にも褒められない。
でも、やらないと怒られる。
時間だけ、きっちり持っていかれる。
こういう仕事を、僕は「渡してしまった」んです。
「奪う」の反対語は、たぶん
賛否はあると思います。
でも僕は、この言葉の反対は「守る」ではないと思っています。
空く、です。
事務が減ると、ヒマになるわけではありません。
やれていなかったことをやる時間になるんです。
お客さんのところへ、もう一度行ける。
断っていた仕事を、受けられる。
新しく入った人に、教える時間ができる。
夜、事務のために会社に残らなくてよくなる。
……これ、奪われた景色でしょうか。
ただ、怖い面も、ちゃんとあります
楽観だけ書くのは、フェアじゃないと思うので。
「言われた形に、書き写すだけ」の仕事は、たぶん減っていきます。
僕がそう言い切れる理由は単純で、自分がその仕事をAIに渡してしまったからです。
自分でやっておいて「減りません」とは、さすがに言えません。
ここは、正直に書いておきます。
でも、渡せなかったものがあります
昨日と一昨日、会報を作った話を書きました。
あの中で、いちばん驚いたことがあります。
同好会を紹介するページの順番を、僕は適当に並べていました。
そうしたら、長く関わっている方から言われたんです。
「これ、名簿の順番に合わせたほうがいいですよ」
どこにも、書いていないルールでした。
僕も知らなかった。AIは、もっと知らない。
会社の中にも、こういうものが山ほどありますよね。
- あのお客さんには、電話より先にメールを入れる
- この書類は、月末より25日に出したほうが通りやすい
- あの現場は、雨の日は段取りが変わる
書いていないけれど、みんなが知っていること。
これを持っている人が、いちばん強いと思うのです。
AIは、書いてあることしか知りません。
だから、僕はこう考えています
AIに渡せるのは、手順が決まっている部分まで。
渡せないのは、その会社のことを知っている部分です。
そして後者は、長くその会社にいる人ほど、たくさん持っています。
不思議なもので、AIを使えば使うほど、その人の値打ちがはっきり見えてくるんですよね。
「この作業、AIでいけますね」
「……あ、でもこの判断は、○○さんじゃないと無理だ」
こういう会話が、実際に起きます。
こんな会社になったら、と思っています
朝、事務所に来る。
前の日にお願いしておいた下書きが、もうできている。
目を通して、違うところを直す。それで午前中が終わる。
午後は、現場に行ける。人に会える。
夕方には、帰れる。
そして、その会社にしかない知恵を持った人が、ちゃんと大事にされている。
僕が思い描いているのは、そういう景色です。
少なくとも、僕はこう使っています
まとめます。
僕はAIを、人を減らすためには使っていません。
人が足りないなかで、会社を回すために使っています。
そして、空いた時間で何をするかは、AIは決めてくれません。
そこは社長さんの仕事です。 たぶん、いちばん楽しい仕事です。
明日は、軽い話です
明日は「お盆に、AI社員は働くのか」を書きます。
答えは「半分だけ、はい」です。
期待されるほど働いていない部分も、正直に書きます笑
よかったら、また覗いてください。